ART登録施設とは
ART(Assisted Reproductive Technology:生殖補助医療)登録施設とは、日本産科婦人科学会に登録し、体外受精や顕微授精などの高度生殖医療を実施している医療機関のことです。
日本では、体外受精・顕微授精を行うには日本産科婦人科学会への登録が必要です。2023年時点で全国に約620施設が登録されています。登録施設は毎年の治療成績を学会に報告する義務があり、このデータは一般にも公開されています。
日本産科婦人科学会のデータで分かること
学会が公開しているARTデータブックでは、以下のような情報を確認できます。
- 全国の治療周期数と妊娠率の年次推移
- 年齢別の妊娠率・生産率(出産に至った率)
- 治療方法別(新鮮胚移植・凍結融解胚移植)の成績
- 施設ごとの治療件数(施設名は非公開だが、規模感は把握可能)
年齢別の妊娠率を正しく読む
ARTの治療成績は年齢によって大きく異なります。以下はJSOG(日本産科婦人科学会)ARTデータブック2021年版に基づく移植あたりの妊娠率の全国平均です。
これらは全国平均であり、個々の治療内容やクリニックの技術力によって結果は大きく異なります。ご自身の見込みについては主治医にご相談ください。
- 30歳未満:約45〜50%
- 30〜34歳:約40〜45%
- 35〜39歳:約30〜40%
- 40〜42歳:約15〜25%
- 43歳以上:約10%以下
ここで注意すべきは、「妊娠率」と「生産率(実際に赤ちゃんが生まれた率)」は異なるという点です。心拍確認後は流産のリスクが大きく下がるとされています。ただし、流産率には年齢による傾向もあるため、妊娠率だけでなく生産率も確認することで、より正確な見通しを得ることができます。
データを読む際の注意点
- クリニックによって患者の年齢構成が異なるため、単純な妊娠率の比較は困難
- 治療件数が少ないクリニックは、統計的なばらつきが大きい
- 新鮮胚移植と凍結融解胚移植では成績が異なる(凍結融解胚移植の方が成績が良い傾向)
- 多胎妊娠率や合併症の発生率も重要な指標
クリニック選びで確認すべきチェック項目
ART登録施設であることを前提に、以下の項目を確認しましょう。
- 年間の採卵件数・移植件数(治療件数が多いほど経験豊富といえる)
- 凍結融解胚移植の実施割合と成績
- 日本生殖医学会認定の生殖医療専門医が在籍しているか
- 胚培養士(エンブリオロジスト)の人数と資格
- PGT-A(着床前遺伝学的検査)の実施体制があるか
- 先進医療として認められた治療を実施しているか
データの確認方法
ARTの治療成績データは、日本産科婦人科学会のウェブサイトで閲覧できます。また、多くのクリニックが自院の治療成績をホームページ上で公開しています。
公開されている場合は、以下のポイントをチェックしてください。
- データの集計期間が明記されているか
- 年齢区分ごとに成績が分かれているか
- 妊娠率だけでなく生産率(出産率)も記載されているか
- 症例数が十分にあるか(年間100件以上が目安)
まとめ
ART登録施設のデータは、クリニック選びの重要な判断材料のひとつです。ただし、データだけでクリニックのすべてが分かるわけではありません。実際の通いやすさ、医師との相性、費用なども含めて総合的に判断することが安心につながります。
まずはエリアで絞り込んでみるページから、お住まいの地域のART登録施設を探すことができます。
