サプリメントは治療の「土台づくり」
不妊治療を始めると、「何かサプリメントを飲んだほうがいいのでは」と考える方が多いです。サプリメントは治療そのものではありませんが、身体の状態を整える「土台づくり」として位置づけることができます。
ただし、サプリメントに過大な期待を持ちすぎたり、高額な製品に飛びついたりするのは避けたいところです。この記事では、エビデンスの強さ別にサプリメントを整理し、選び方のポイントをお伝えします。
エビデンスが強い:積極的に検討したいもの
葉酸(推奨)
- 厚生労働省が妊娠を計画する女性に1日400μgの摂取を推奨
- 神経管閉鎖障害の予防が主な目的
- メチル葉酸(活性型)と合成葉酸の2種類があり、日本では合成葉酸(プテロイルモノグルタミン酸)が推奨されている
- 妊娠判明前からの摂取が重要(妊娠を考え始めた時点で開始)
ビタミンD(要検討)
- 血中濃度が低い場合は補充が推奨される
- 不妊治療の成績との関連を示す研究が増えている
- 1日1,000〜2,000 IU程度の摂取が一般的。過剰摂取は避ける
- まずは血液検査(25(OH)D)で不足を確認してから開始するのが理想
エビデンスがある程度ある:状況に応じて検討
鉄
- フェリチン値が低い場合は補充を検討
- 不必要な鉄サプリメントの摂取は過剰症のリスクがある
- 必ず血液検査で確認してから開始する
亜鉛
- 男性の精子形成に重要。男性用妊活サプリによく含まれている
- 食事からの摂取が不足しがちな場合に検討
コエンザイムQ10(CoQ10)
- 卵子のミトコンドリア機能をサポートするとされている
- 卵巣予備能の改善を目指す方を対象に研究が行われている
- 摂取量の目安:100〜600mg/日(研究によって幅がある)
- 処方薬との相互作用に注意(特にワルファリンなどの抗凝固薬)
L-カルニチン
- 精子の運動率改善との関連を示す研究がある
- 主に男性向けのサプリメントに含まれている
エビデンスが限定的:慎重に判断したいもの
DHEA
- 卵巣予備能が低い方(AMH低値)に対して、一部のクリニックで処方されることがある
- ホルモン製剤であるため、自己判断での購入・服用は避け、必ず医師の指示のもとで使用する
レスベラトロール
- 抗酸化作用が期待されているが、不妊治療への効果はまだ研究段階
ミオイノシトール
- PCOSの方に対して排卵を改善する可能性が研究されている
- 日本では医薬品としての承認はなく、サプリメントとして流通
選び方のポイント
1. まず主治医に相談する
サプリメントの中には、治療薬との相互作用があるものもあります。自己判断で始めるのではなく、主治医に「何を飲んでいるか」を伝え、相談したうえで選びましょう。
2. GMP認証のある製品を選ぶ
サプリメントは医薬品ではないため、品質にばらつきがあります。GMP(適正製造規範)認証を取得している製品を選ぶと、品質面での安心感があります。
3. 高額なものが良いとは限らない
「妊活専用」を謳う高額なサプリメントが多数存在しますが、有効成分の含有量と品質がしっかりしていれば、ドラッグストアで買える製品でも十分なことがあります。成分表示を確認する習慣をつけましょう。
4. 過剰摂取に注意
「多く飲めば効果が上がる」ということはありません。脂溶性ビタミン(A、D、E、K)は過剰摂取による健康リスクがあります。表示された用量を守ることが大切です。
パートナーも一緒に
サプリメントは女性だけのものではありません。男性向けの妊活サプリメントも多く販売されています。
- 亜鉛:精子形成に不可欠
- コエンザイムQ10:精子の運動率改善に寄与する可能性
- L-カルニチン:精子のエネルギー代謝をサポート
- ビタミンC・E:抗酸化作用で精子のDNA損傷を軽減する可能性
「一緒にサプリを飲む」という行動自体が、二人で取り組んでいるという実感につながることもあります。
この記事のポイント
- 葉酸は妊娠を考え始めた時点で開始(推奨)
- ビタミンD、鉄は血液検査で不足を確認してから補充
- 高額な製品が必ずしも良いわけではない
- 自己判断で始めず、主治医に相談を
- 男性もサプリメントを検討する価値がある
食事全般のポイントについては食事と栄養の記事をご参照ください。
出典
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
- 日本生殖医学会「生殖医療の必修知識」
