不妊治療を始めるタイミングは「年齢」で変わる

「いつから不妊治療を始めればいいのか分からない」という声は非常に多く聞かれます。日本産科婦人科学会では、避妊をせずに1年間妊娠しない場合を「不妊」と定義していますが、年齢によって受診のタイミングは大きく異なります。

妊孕性(にんようせい)は年齢とともに変化していくことが医学的に知られていますが、その程度には個人差があります。ここでは年齢別の受診目安を詳しく解説します。

30歳未満の場合

一般的に、30歳未満であれば自然妊娠の可能性が高いとされています。ただし、PCOSや子宮内膜症などの疾患がある場合は、年齢に関わらず早めの受診が助けになります。避妊をやめてから1年間妊娠しない場合に受診を検討するのが目安です。

ただし、以下のような症状がある場合は年齢に関係なく早めの受診が推奨されます。

  • 月経不順(周期が25日未満または39日以上)が続いている
  • 月経痛がひどく、日常生活に支障をきたしている
  • 過去に骨盤内の手術を受けたことがある
  • 性感染症にかかったことがある

20代のうちにブライダルチェック(妊娠前検査)を受けておくと、潜在的な問題を早期に発見できる場合があります。

30歳〜34歳の場合

30代前半は、妊孕性が緩やかに低下し始める時期です。避妊をやめてから6か月〜1年で妊娠しない場合は、早めに婦人科やレディースクリニックを受診することが望ましいとされています。

この年代では、基礎的な検査(血液検査、超音波検査、卵管造影検査など)を受けることで、治療が必要かどうかを判断できます。パートナーも一緒に検査を受けると、二人に合った治療方針を立てやすくなります。

35歳〜39歳の場合

35歳前後は妊孕性が変化しやすい時期とされています。この年代では、避妊をやめてから6か月経っても妊娠しない場合、一度専門医に相談してみることをお勧めします。

卵巣の状態には個人差が大きいため、まずはAMH検査などで今の状態を確認できます。なお、35歳以上では統計上、卵子の質に変化がみられるケースもあるため、気になったタイミングでの受診がおすすめです。タイミング法に長期間こだわるよりも、専門医と一緒に治療方針を相談することが重要です。

  • タイミング法の結果をもとに、人工授精へのステップアップも選択肢に入れて相談する
  • 必要に応じて体外受精も視野に入れる
  • AMH(抗ミュラー管ホルモン)検査で卵巣予備能を把握する

40歳以上の場合

40歳以上では、妊娠を希望した時点で不妊治療専門クリニックに相談してみることをお勧めします。統計上、自然妊娠の確率は1周期あたり5%程度とされていますが、体外受精などの治療を選択した場合の妊娠率はこれとは異なります。治療の選択肢についてはステップアップの記事をご参照ください。個人の状態によって見込みは異なります。まずは検査で今の状態を把握することが、次のステップを考えるうえで役立ちます。

2022年4月からの保険適用には年齢制限(治療開始時に女性が43歳未満)があります。すでに治療中の方は、保険適用の回数や治療計画について主治医と確認しておくと安心です。

AMH検査とは

AMH(抗ミュラー管ホルモン)検査は、卵巣に残っている卵子の数の目安を知るための血液検査です。この検査で分かるのは卵子の「量」であり、「質」を評価するものではない点に注意が必要です。

AMH値が低い場合は、卵巣予備能が低下している可能性があり、早期の治療開始を検討する材料になります。検査費用は自費で6,000円〜10,000円程度が一般的です。

AMH値の目安

以下は一般的な目安であり、検査キットや施設によって基準値が異なります。結果の解釈は必ず主治医にご相談ください。

  • 30歳未満:3.0〜6.0 ng/mL程度
  • 30〜35歳:2.0〜4.0 ng/mL程度
  • 35〜40歳:1.0〜3.0 ng/mL程度
  • 40歳以上:0.5〜2.0 ng/mL程度(個人差が大きい)

ただし、AMH値には個人差が大きく、低いからといって直ちに妊娠できないというわけではありません。あくまでも治療計画を立てるための参考指標として活用されます。

受診のきっかけになる主なサイン

年齢に関係なく、以下のようなサインがある場合は受診を検討してみてください。

女性側のサイン

  • 月経周期が極端に短い、または長い
  • 不正出血がある
  • 基礎体温が二相性を示さない(排卵していない可能性)
  • 強い月経痛や排卵痛がある

男性側のサイン

  • 精巣炎やおたふく風邪(流行性耳下腺炎)にかかったことがある
  • 鼠径ヘルニアの手術を受けたことがある
  • 泌尿器科的な既往がある

まず一歩を踏み出すために

今の段階でどのような選択肢があるかを知ることが、次の一歩につながります。まだ治療が必要かどうか分からない段階でも、検査だけ受けてみるという方法もあります。

まずは通いやすいクリニックを探してみるページで、お住まいの地域のクリニックを比較検討してみてください。